歯根破折と根の治療
2021.07.24
こんにちは。
歯科医師の柴田です。
これまで歯を失う原因や細菌について、力についてお話しして来ました。
歯根破折についても触れさせていただきました。
歯科治療の多くは“歯を削る”診療になります。その結果歯の強度が落ちてしまい、噛む力に耐えられなくなり、歯が割れるという結果になります。
また根管治療も大きく影響します。
私自身、根の治療をしてあるのに樹脂で埋めただけの歯や詰め物が入っている歯を多く見かけます。
特に虫歯になっていなくてもそのような歯は割れてしまうリスクが高いと言われています。
ここで一つ論文を紹介します。
2004年のSalehrabi R, Rotstein Iによる米国の大規模な患者集団における歯内療法の結果についての文献です。その文献によると根管治療後に抜歯になってしまった歯の85%は被せ物をされておらず、被せ物されている歯と比べ前歯で4.8倍、小臼歯で5.8倍、大臼歯で6.2倍抜歯のリスクがあった。
つまり根の治療を行った歯は被せないと抜歯になってしまうリスクが高まるということがわかります。
不安な点や気になることがございましたら是非カウンセリングにいらしてください。
歯根破折
2021.07.13
こんにちは、歯科医師の柴田です。
前回に引き続き歯を失う理由、特に歯根破折についてお話ししていこうと思います。
「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられ、原因は「むし歯由来」とみなすことができます。
つまり、根の治療の精度によって将来その歯が長く残るかどうかを決めるといっても過言ではありません。
また抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「埋伏歯」と「矯正」は若い年代に多く、「むし歯」はどの年齢層でも多くなっています。
いきなり歯を失うわけではなく、様々な積み重ねが最終的に抜歯に至ってしまうのです。