日本の根管治療の成功率
2021.07.27
こんにちは歯科医師の柴田です。
突然ですが、日本における根管治療の成功率というのをご存知でしょうか?
2011年須田英明先生の我が国における歯内療法の現状と課題についての文献です。
根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率が約50-70%と書いてあります。
簡単に説明すると過去に根の治療をした歯の根が膿んでいる確率が約50-70%ということになります。
つまり約30-50%しか成功していないということになります。
ケースにもよりますが、世界的に見ると根の治療の成功率というのは非常に高く、初めての治療であれば90%以上と言われています。
なぜここまで成功率に差があるのでしょうか?
今後説明させていただきます。
歯根破折と根の治療
2021.07.24
こんにちは。
歯科医師の柴田です。
これまで歯を失う原因や細菌について、力についてお話しして来ました。
歯根破折についても触れさせていただきました。
歯科治療の多くは“歯を削る”診療になります。その結果歯の強度が落ちてしまい、噛む力に耐えられなくなり、歯が割れるという結果になります。
また根管治療も大きく影響します。
私自身、根の治療をしてあるのに樹脂で埋めただけの歯や詰め物が入っている歯を多く見かけます。
特に虫歯になっていなくてもそのような歯は割れてしまうリスクが高いと言われています。
ここで一つ論文を紹介します。
2004年のSalehrabi R, Rotstein Iによる米国の大規模な患者集団における歯内療法の結果についての文献です。その文献によると根管治療後に抜歯になってしまった歯の85%は被せ物をされておらず、被せ物されている歯と比べ前歯で4.8倍、小臼歯で5.8倍、大臼歯で6.2倍抜歯のリスクがあった。
つまり根の治療を行った歯は被せないと抜歯になってしまうリスクが高まるということがわかります。
不安な点や気になることがございましたら是非カウンセリングにいらしてください。
力のコントロール
2021.07.22
こんにちは歯科医師の柴田です。
前回までは細菌のコントロールについてお話させていただきました。
今回は”力“のコントロールについてです。
歯科は細菌の問題が多く取り上げられますが、過去にお話ししたように細菌由来の疾患(虫歯や歯周病など)は全国的に減少しており、歯根破折というのが目立つようになりました。
歯根破折は外傷だけではなく、根の治療を行った後の歯にも多く見られるため、根の治療というのは非常に大事な治療になります。
また、食事はもちろん夜間の歯ぎしりやスポーツを行う際の食いしばりなど歯にかかるストレスというのは多く存在します。
このストレスに偏りが生じることで歯が割れるという現象が起きます。
ここで重要なことは”歯並び“です。
生まれながら理想的な歯並びという方は実は少なく、矯正を行うことで理想に近づくことができます。
矯正治療は審美的な変化はもちろん長期に渡りご自身の歯で食事をするということまで見据えてご提案させて頂いております。
若いうちから矯正をしておけばよかったと後悔される方も多くいらっしゃいます。
当院では専門医の先生が月に2回いらして頂いていますので是非相談にいらしていただければと思います。
細菌のコントロール②
2021.07.20
こんにちは歯科医師の柴田です。
今回はプロフェッショナルケアについてお話します。
なぜプロフェッショナルケアが必要かといいますとバイオフィルムが存在するからです。
花瓶の内壁や流しなどにみられる粘着物は細菌が形成する生物膜(バイオフィルム)です。
地球環境で水のあるところには大抵バイオフィルムがみられます。
口腔内のデンタルプラーク(歯垢)はバイオフィルムの典型例です。
口腔内常在菌・う蝕原性細菌が歯表面に形成するバイオフィルムや歯周病原性細菌等が歯周ポケット内に形成するバイオフィルムは複数の微生物とそれらの産物で構成されていて、相互に影響を及ぼしあい、栄養源を融通しあったり、薬剤に対して抵抗性を示すなど共同体として小宇宙(ミクロコスモス)を形成しています。抗菌剤や抗体はこのバイオフィルムの中へ浸透しにくいため、浮遊細菌で効果のあった抗菌剤や抗体が実際には効きにくいのです。
薬剤の効果を発揮させるためには一度このバイオフィルムを機械的に破壊する必要があります。バイオフィルム内の病原性細菌が関与する感染症をバイオフィルム感染症といいます。う蝕も歯周病もバイオフィルム感染症の一つです。
このバイオフィルムを除去できるのがプロフェッショナルケアなのです。
是非、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアを受けてみてはいかがでしょうか?
細菌のコントロール①
2021.07.17
こんにちは歯科医師の柴田です。
前回に引き続きお話をしていきます。
まず、歯周病や虫歯というのは口腔内の細菌によって引き起こされます。
そこを管理していくためには適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアです。
セルフケアというのはいわゆる歯ブラシやフロスのことを指します。自分自身で適切にできているかどうかというのを判断するのは非常に難しく思います。そこで定期的に歯科医院にてプロフェッショナルケアをおこなうことでセルフケアの“弱点”を見つけることができます。
苦手な部分を把握した上で行う歯磨きは全く違うものです。
また、どうしてもセルフケアだけでは取り切れないプラークなどもあり、定期的にプロフェッショナルケアを行うことが大切です。