より安全・より正確なインプラント治療のために(その6:ガイデッドサージェリー)
2019.07.30
こんにちは、歯科医師の椎名です。
前回は静脈麻酔鎮静法について説明させていただきました。
今回はインプラント手術、そしてデジタル化により進化したガイデッドサージェリーについてお話ししていきます。
まず基本的なインプラント手術の流れについて以下に(簡略にですが)書いていきます。
①麻酔後、歯茎を切開・剥離してインプラントを入れたい場所の骨がしっかりと見えるようにする
②専用ドリルで骨の中にインプラントを埋入するスペースを掘っていく
③インプラントを埋入
④インプラントにネジの蓋をして、歯肉の縫合・止血をして終了
⑤麻酔からの覚醒、確認のレントゲン写真撮影・術後説明を行い、お薬の処方
となります。
今回お話しをしたいのは②と③のパートについてです。
ガイドを用いない手術ではCT上での理想的なインプラント位置を参考にしながらも
術者の経験に基づいた判断や技術を駆使してその位置を再現できるようドリリング・埋入していきます。
しかし、体動もある口の中で計画通り寸分違わずインプラントを入れるというのは非常に困難です。
また、骨は表面が硬く、内部は比較的柔らかかったり、人によって骨の質も様々に異なります。
硬い部分と柔らかい部分の境目をフリーハンドでドリリングしようとすると
硬い部分で滑り、柔らかい方へドリルが誘導されてしまうことも起こり得ます。
人の手で行う以上、技術の差にもよりますがわずかなズレというものは生じてしまうというわけです。
統計的にはミリ単位のズレがあると言われています。
(もちろんそれも見越して許容範囲に収められるよう治療計画を立ててもいるのですが)
全ての歯科医師が機械のように正確に全症例で手を動かせるゴッドハンドであれば最高ですが、
そんな話は現実的にはあり得ないでしょう。
しかしながら歯科の世界でもデジタル化が推し進められた結果、
コンピューターの力を借りれば機械のように正確にインプラント手術ができるようになりました。
それが現在のガイデッドサージェリーです。無理に訳すとすれば「導きのある外科手術」でしょうか。
CT撮影による骨データ、そしてスキャンした歯のデータをコンピューター上で重ね合わせ
3Dプリンタで下のような歯にフィットする「ガイド」を製作、
あとはガイドを歯にしっかり合わせたうえでスリーブ(金属の輪)の中を通してドリルを入れれば
誤差もブレも最小に抑えつつ②と③の治療を行う事ができるというわけです。
これにより術前に入念に計画を立てたインプラント位置を正確に再現できるようになるため、
さらに安全性の高いインプラント手術を患者様に提供できるようになりました。
まさしくデジタル化の恩恵ですね。
写真左はストローマンガイドの実物です。(写真右は模型装着時)
このガイドを実際の患者さまの歯にしっかり合うことを確認、
専用器具を用いることで各サイズのドリル、インプラントはこの金属の輪の中をブレる事なく
事前に計画された位置、深さに精密に埋入されていきます。
これまでの内容は過去の投稿をご覧ください。
下記リンクから当HPの過去ブログ記事に飛びます。
その5:静脈麻酔鎮静法
https://www.ginza-smile.info/implant/3544
その4:治療計画
https://www.ginza-smile.info/blog/3512
その3:既往歴、全身疾患
https://www.ginza-smile.info/blog/3460
その2:歯周病
https://www.ginza-smile.info/blog/3462
その1:インプラント治療とは
https://www.ginza-smile.info/blog/3439
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